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2010年1月15日金曜日

閉鎖病棟

ははきぎ蓬生、ははきぎが変換されない。帚木、「ほうき」と入れるとでてくる。ぜんぜん知らない作家だった。私の「治療をためらう」が週刊朝日に医療系の本のベスト3として和田秀樹氏に紹介されていたのだが、その項で、複数の人からベスト3にあげられていた。何となく、おもしろそうな気がして買って読んでみたらみたら、これがすごい。精神病患者の物語、といえばありきたりだが、ものが違う。患者等の開放されっぷりがすごい。閉鎖された世の中に住んでいるのはこっちの方だ。
たとえばこんな場面。
覚醒剤中毒患者の元やくざ。どうしようもない奴として描かれる。通院してくる女子中学生を強姦してしまう。その元やくざを、かつて家族を4人も殺し死刑判決を受けたものの、死刑によって死ねず、生き残ってしまった半身不随患者が殺す。その殺した場面を、その元死刑患者本人が振り返る。
苦しそうだった元やくざが、刺されることで優しい顔になって死んでいく、そんな描写。正確に思い出せない。正確に思い出せれば自分が作家になっている。

なんて開放ぶり。それに比べて、こちらの閉じっぷりもハンパない。こちらこそ、私自身こそ閉鎖病棟にいる。

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