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2009年6月24日水曜日

大不況には本を読む

橋本治の大不況には本を読むを読む。自分のしてきたことはこういうことであったか。たくさんのものを作る。作ったものは全部売る。医療も農業よりは工業に近い。物事には限界がある。医療ですらその限界を見失っている。農業はその限界で止まっている。商工業は、限界を見失った結果、限界に達したが、また限界がないと思いたがっている。医療はこれから限界を思い知るだろう。作ったものをすべて売れる、というセイの法則は、原理ではなく、それを正しいとして進めていくのが経済だという定義なのだ。それを正しい、つまり限界はないということを正しいとしなければ破綻してしまうもの、それが経済だ。かなりわかってきたぞ。すべきことは、本を読む、である。

この治療は有効だ、そんなことを言おうと思ったら、エビデンスを示す必要がある。そういう世の中だ。それに対して、橋本治は言う。出版は不況に強いと。それに対して世の中はどう言うか。証拠を示せと。しかし橋本治はこう答える。なにが変わったのか。誰も出版は不況に強いとは言わない。しかし変わったことはそれ自体ではない。出版は不況に強いという証拠を示せ、というようになったことが変化であると。投資の対象になるかどうか、それを示せと。それが世の中の変化であると。


医療も同じだ。その医療は投資の対象になるかどうか。エビデンスを示せと。医療は人間の生活に役立つ。それでいいではないか。そこでエビデンスを示せと言うのは、医療が投資に対象になるかどうかということである。

橋本治は相変わらず冴えまくっている。

えらい世の中である。すべて投資に値するかどうか。基準はそこだ。消費資本主義とEBMの類似点、深く考える必要がある。

健康になることなど重要ではない。不健康も含め、全体としての人のあり方。病気を避けることなどできない。問題はいかに病むかだ。病み方についての学問、それが今後の医療の一つの大きな方向性だ。

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